忘れない事

  • 2009.10.15 Thursday
  • 18:54

人生の中ではオーバーに言えば自分の人生観を変えてしまうほどの出来事が突然起きる事がある。
それは仕事で出逢った人だったり、何気に観た映画だったり、はたまた人によっては可愛いあの子がいるお店で突然起こるのかも知れない。
帰省した折、祖母の部屋で1冊の絵本を見つけた。
絵本と言っても椿や蘭、菊や紫陽花が独特のタッチで描かれた詩画である。
決して上手とは言えない(私には絵を見る力など無いのですが・・)画集に描かれているこの花達にどこか見覚えがあった。
ページをめくりながら何処でこの絵を見たのかを思い出すのだが思い出せない。
作品のひとつひとつに描かれた年が丁寧に記してある。
1972年辺りからの2、3年間は随分描く線が細く弱々しく私には見えた。
絵に添えられている文字も同じ様に見える。
私は母親にこの本をくれないかと告げ東京に戻る鞄の中にしまった。

数ヶ月振りに自身が書いていたこのブログを読み返してみた。

自分自身の文章力と表現力の貧困さを我ながら再確認できた事と、本当に私自身がこんな事を書いたのだろうか?こうして残って行く文章と言う物の恐ろしさ(オーバーか)を確認出来た。
少年時代に初恋の相手のMちゃんに出したラブレターなんかをきっと今読み返してみたら恥ずかしいを通り過ぎて、まさに今の気持、こんな感じなのだろうな・・

人が書いた物や表現したものにケチをつける気は更々ないが、更新しない間で他人が書いた文章(ブログ)を覗く事が習慣になった。
もちろん興味を持った人や文章に限ってではあるが。
私には今日他人が何をしていたとか、何を食べたであるとかはどうでもよい事(失礼)なので自分の写真を
毎日貼りつけている人を見ると不思議に思ってしまう。
又、
間違った情報や意見で自分の廻りや、言えば世の中を操作する手段にこのブログがある事が書かない時間でよく解った。
これを情報操作と言うのだろう・・
私は新聞やテレビが伝える事をあまり信用していない。
歴史を振り返れば長崎や広島に原爆が投下されても、新聞は圧倒的に日本が優勢であると国民に情報を流した。
もちろん他人に見せるブログ、特に匿名では無く書いた人が特定出来るものに限っては全てを信用しろと言う方がおかしいのかも知れない。なにせ公開日記なのだから・・
更に言えばインターネットなどで出てくる情報ほどあてに出来ないものは無いと思っている。
この国の人達は恐ろしいほどの速さで情報を収集し、ものすごいスピードで得た情報を忘れて行く。
その情報が例え間違っていたにせよ次の情報を得る為にはその事を過去の物にして次の情報収集に進むのだろう。

私の廻りでこの数ヵ月の間に5つの命が誕生し1つの命が終わった。
なるべく避けたいいくつかの冠婚葬祭にも出席をした。

つまらない事ばかりが優先され、大切な物が何も見えない時間を私は過ごしている。
冬を迎える海の水がどれくらい冷たいのかを身体で感じていた少年の頃を忘れている。
椿の花首が落ちるその同じ枝に小さな蕾が隠れている事を知らずに処分する事ばかりを考えている。

「思い出した」

母親に本の事を電話で訪ねてみると祖母の健康を気遣った祖母の友人が祖母に持って来たものだと言う。
その友人が毎年欠かさず祖母宛にくれる賀状に描かれている椿や蘭の花の絵がこの星野富弘氏が描く詩画の絵に似ていたのだ。
祖母と同じ年齢の人だから90歳をゆうに超えている老人が友人を気遣い心配して励ます為に・・・
頚椎損傷で首から上しか動かす事の出来ない作者が口で描いたとは思えない素晴らしい詩画だった。
目の見えない祖母に何故あえてこの本を持って来て下さったのだろう。

祖母の葬儀を終え東京に向う電車の中で、20数年もの間、育てて貰った人に殆ど逢いに行く事もせず自分の事だけを考え好き勝手をしてきた事を、いま私の膝の上で小さく軽くなってしまった祖母の遺骨に詫びた。

幸せや喜びはどれも大きな意味で形が似ているような気がする。

人は生きている間の時間、殆どが困ったような事ばかりで自分の思い通りに生きて行ける者などいない。

生まれて生きて死ぬ。これだけは皆が平等に与えられた事である。

私は哀しみにはそれぞれの形があるような気がする。それでも人は哀しみを乗り越えて生きて行く。


私を育ててくれた祖母の死も例外ではなく、もう2度と逢えないという事だけが死で、死とはそれ以上でもそれ以下でもないと私は思っている。

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