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    神様の事

    • 2017.10.11 Wednesday
    • 14:53

    ゴルフクラブを初めて握ったのはもうどれくらい前になるのだろうか・・

    と云っても25年程前芝公園にあったゴルフ練習場の貸クラブを勝手に振り回してみただけの話だが。

     

    「りょうじ、おまえにこのクラブをあげるよ」

    当時、今とは違う成業で生きて行こうとしていた私は、自分では生活する事さえ出来ずTさんが役員を務める

    会社に身を置き1年の殆ど時間をTさんと共にし面倒を見て頂いていた。

    右も左も解らない田舎の青年は遅刻から始まり現場に行けば揉め事を起こす問題児であった。

    それでもTさんはどこか穏やかな表情で私の勝手を見ていてくれたような気がする。

    私の誕生日の前日にTさんのご自宅車庫に並べられていたゴルフバッグの中から1つの大きな新品のキャデイバッグを

    Tさんは私の前に差し出した。

     

    「いつか自分のお金でゴルフが出来る日が来た時にこのクラブを使いなさい。誰が見ても恥ずかしくは無いクラブだから。それまでは辛抱だよ」

    と云うような事を言われた事を覚えている。明日の飯代がない青年にとって目の前にあるピカピカに光ったゴルフクラブが一体今の生活の何の役にたつのかが理解できなかった。

    ベンホーガンだかハルクホーガンだか解らない10数本のクラブが入った重いキャディバックを担いで青年は3畳一間のアパートに帰った事を覚えている。

    その日からカビ臭いだけの殺伐とした私のアパートは更に狭くなったのだが、部屋に帰るたびにそれまでには嗅いだことの無い重厚な革の匂いが何故だか嬉しかった。

    それから間もなくしてゴルフバックは私の部屋から出て行き、そして私の手元には数十万円の現金が入ってきた。

    ゴルフ屋のおっさん悪い顔して笑ってたな・・アハハ

    数年たったある日突然Tさんがハルクホーガンの事を思い出し練習に行くから持って来いと言い出した。

    突然思い出すのはTさんの悪い癖なんです(笑)

    私は慌ててゴルフ屋に駆け込みハルクホーガンを探した。いくつかの店を探し見つけたのは高価なものばかりで、結局持ち金をはたいて買えたのは錆びつき古ぼけた汚いアイアン1本だった。

    Tさんが待つ練習場に向かう電車の中で、練習をしすぎたらこんな風になってしまいました。しかも十数本が1本に・・と言えば何とかなる事を信じてクラブを握りしめていた。

    ・・・ならなかった。普段温厚なTさんがこの時だけは青筋を立てて大声で怒鳴ってらっしゃいました(笑)

    やっぱり覚えてたのね。

    それでもTさんは時々だがこんなポンコツな私をゴルフ場に連れて行って下さり、クラブハウスでのマナーやコースから眺める四季折々に変わる美しい景色を私に教えてくれた。

    ゴルフシューズを買いなさいと頂いたお金も何故だか消えてしまい、しょうがないので成人式に履いた革靴でプレーしていたらそれに気付いたTさんに真っ赤な顔をして叱られた事もある。革靴は芝の上だと非常に滑りますので注意して下さい。アハハ

    雨の小淵沢では素振りをしていたクラブが手からすっぽ抜け、キャディさんの顔面すれすれに飛んでいき鬼の様な形相をしたキャディさんに1日中、口を聞いてもらえなかった事もあった。今度は当てたろか(笑)冗談ですけど。

    良いことだってあった。ハワイの名門コース。アーノルドパーマー設計のタートルベイではホールインワンを達成したのだ!

    シャンク(右に出てしまう)したボールが何かに当たりコースに戻ってきてそのまま入ってしまっただけではあったが・・・

     

    「何やってるんすか」私の問いに

    「ボールが落ちた場所は30分も経たないうちに芝がダメになってしまうからこうして直すんだ。そうするとゴルフの神様がここぞと云う1打に力を貸してくれる日があるんだよ」

    20年以上前、優しい目をしたTさんが話してくれた。

    私にゴルフを結び付けてくれたTさんは人前に出たり、役を演じる事を成業にしていて出会った頃からマネージャーや付き人の方が殆どの事をお世話されていたので、Tさんが何かをつぶやきながら自分でボールマークを直す姿に正直私は驚きを感じた事を覚えている。私の結婚式にはTさんご夫妻に媒酌人として立ち会って頂いたのだが、式の最中Tさんはテーブルのしたでグリップの形を作り首を傾げていらっしゃった事が可笑しかった。

    そんな事をしながら私は25年近い時間の中でゴルフに近づいたり離れたりを繰り返して来た気がする。

    結局その当時の成業も私は放り出し、何をやっても長続きせず不義理ばかりを重ね叱られてばかりの人生だったが、五十路を過ぎた今、遊び位はまじめにやらなければと思っている。

     

    私はTさんがティーグランドで自分の順番を待つ間、ぼんやりと遠くの山々や流れる雲を見ている姿が好きだ。

    Tさんに始めてお逢いした時のTさんの年齢を私はもう1回り以上超えてしまった。今でも私はTさんに叱られながら、とぼとぼとTさんの後ろを歩き一体どこに飛んでいくのかも判らない次の1打を打ち続けている。

     

    私は今でもあの日Tさんが教えてくれた神様の話をしんじている。

     

     

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