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    紫陽花

    • 2019.06.27 Thursday
    • 15:48

    四国地方では雨の被害が出始めているらしい。梅雨なのだから雨が降るのはしょうがないとしても地盤に影響をもたらす程の雨とは一体どんな降り方をするのだろうか・・。よく滝のような雨という表現をニュースでキャスターが使う事があるが実際に滝なら普通には立っている事などは出来ないだろう。

    例え小雨でも長い時間をかけて何日も降り続くのだろうから・・ましてや梅雨時など、雨に対しての慣れも手伝って災害意識が薄れてしまうのだろうか。私たちが生まれるずっと前から雨が降り続く時期や地域はあっただろうし、文明など発達していない時代でも人間は自らの防衛本能があり自分達の生活を守る術を持っていただろう。

    人間の勝手な都合の為に自然を切り開き己の足元までもを自然破壊してきたしっぺ返しが今のこの国を象徴しているように思う。

    ITを駆使して欲しいものは外に出ずしても自宅に届けられる便利な世の中を作り上げた。しかしそれはたかが金で買える程度のもので無くてもさほど問題もない事である。何故地方に住む年寄りや子供達すら災害から守れないのだろうか。

     

     

    今朝、目を覚ましリビングに向かうと我が家に唯一ある時計が止まっていた。

    寝ぼけまなこと老眼も手伝って時計がぼやけて良く見えない。眼鏡を探そうとするのだがそれもよく見えない。全く困ったものだ。

    眼鏡を探す為の眼鏡も用意しなければ・・

    眼鏡をかけ時計を見直すと4時45分を少し過ぎている。もう外は明るくなり始めているから5時半過ぎにはなっているのだろうと携帯電話の時計を見直すと4時47分と表示されている。リビングの時計は止まっていたのではなかったのだ。

    私が外の明るさを見て勝手にそんな時間のはずがないと思い込んでいたから時計が止まっていると思ったのだ。思い込みって怖いな・・

    梅雨時とはいえ、6月も残り数日で終わるのだからこの時間で空が明るくなってきても不思議ではないか。

    埼玉県にある石坂ゴルフ倶楽部。8番ホールから9番ホールに向かう短い上り坂の小路には紫陽花が植えられている。

    この時期、私は肩を落としながらその紫陽花を右手に見て9番ホールに向かうのがルーティンになっている。

    キャディのTさんに「この時期っていつもまだ蕾だっけ」と尋ねるとTさんは一瞬目玉をキョロリと上にむけ「そうですよ」と答えたすぐに「そんな事ないですよね。いつもならもう少し花が咲いてますよね?」と逆に尋ね返された(笑)

     

    私の生まれた故郷の実家の裏には足羽山という小さな山がある。私達悪ガキはその山でカブトムシを採り、煙草を覚え、盗んできたバイクの運転をした。私の家から一番近い登り口の山道には山頂まで紫陽花が植えられていてこの時期は美しい紫陽花の道が出来上がる。とは言っても殆ど帰省する事がなくなった私はもう20数年紫陽花の道を見てはいないのだが。

    私は少年時代から雨の多いこの時期が嫌いではなかった。湿度に関しては今も昔もずっと苦手なのだが子供心にどれだけずぶ濡れで泥だらけになって帰っても厳しい父に叱られた記憶がないし、家の中でぼんやりと雨を眺めている事も好きだった。

     

    高校をダブり同級生達よりも1年遅れて卒業した私は関西のとあるデザイン学校に進学をした。とは言っても入学してからの出席率は数える程度のもので、小さな町から逃げ出す為の手段でしかなかった私は水を得た魚のように都会の生活を父から毎月送金される仕送りで満喫していた。

    もちろんすぐにそれは父親にばれ呼び戻されたのも紫陽花が咲くこの季節だった。

    私はH美という女性と恋愛をしていた。恋愛といってもまだ右も左も解らない17,8の男女だからままごとの様な時間だったのだが私にはH美との出会いが後の私の人生を変える事になる人だとは当時は考えもしなかった。

    H美は嬉しい事や驚いた事があるとクリクリとした目を見開いて笑う私と誕生日が1日違いの少女だった。私はそのよく笑うH美が好きだった。

    私達はあるだけの時間を使いバイクや車で海や山に出かけた。ときには些細な事で喧嘩をし、そしてお互いを傷つけながらも2人の永遠な時間を信じていたように思う。それは私だけだったのかも知れないが・・。

    H美との時間は2年を少し過ぎた頃に突然終わった。好きな人が出来たとH美は大きな涙を流しながら私に告げた。純粋な涙だった。

    私よりも1年早く高校を卒業し世の中に飛び出したH美は私が知る可愛い少女から恐ろしい位の速さで私の知らない美しい女性に変わって行く様に私には見えていた。そして別れを告げられた私の周りだけが時間が止まった。

     

    夕刻の歌舞伎町、区役所通りにある新宿区役所前で待ち合わせをした。

    私は何も考えずにこんな場所を待ち合わせ場所に指定した事を後悔していた。Mさんは果たしてこの場所がわかるだろうか・・

     

    Mさんとは30年振りの再開でこの綴りがキッカケで連絡を頂いた。

    Mさんは私が通った高校で、私が入学した時にMさんは既に3年生だった。

    悪ガキ達が憧れそして皆が彼女の事をどこかで見つめていた憧れの人だった。

    区役所前に到着する頃には小雨が落ちてきた。私は建物の前から電話をかけた。すぐに出たMさんの声が30年前に私が知るMさんの声で自分が緊張しているのがわかった。

    「もう着いています」私は受話器を持ちながら周りを見渡すと、えらく貫禄のある女性が電話をしている。

    もしかしてあの女性かしら・・

    現実を受け止める心の準備をしようと思った時、柱の陰からMさんが受話器を持ちながら歩いてきた。

    よ・か・っ・た

    Mさんは昔と変わらず美しい大人の女性だった。

    まあ、もしさっきの貫禄あるおば様がMさんだったらすぐに酔っぱらって帰る準備をするだけだが。アハハ

    Mさんは化粧品関係の仕事をしていて2週間近くの長い出張で東京にいらしているらしい。

    きっと仕事をバリバリこなす才女なのだろうな。

    予約してある近くの店に到着するとほどなくSもやってきた。同じ悪ガキだったSは今は東京にいる。

    先日Sと呑んだ際、私がMさんと会う話しをした途端、何故だかSも勝手にスケジュール帳を取り出し予定を組んでいた(笑)

    五十路を過ぎた少年と少女は酒も手伝ってかゆっくりとだが30数年前の高校生に戻っていた。

    とは言っても殆どが私達がしてきた悪さのつまらない笑い話で、Mさんはそれを優しくうなづきながら相槌を打ってくれていた。

    Sがトイレに立ち話が少し途切れた時に私はH美の事をMさんに聞いた。

    「妹さんは元気でやってますか」

    Mさんはゆっくりとした口調でH美が結婚をし幸せに暮らしている事、そしてH美のお嬢さんが今年結婚する事を教えてくれた。

    素直に嬉しかった。

    何件かの店をはしごしゴールデン街にあるバーに着いた頃には私とSは出来上がっていていつもの只の酔っ払いオジサンに変身を済ませていた。

    時計を気にしているMさんに、もはや高校生ではなく只のおっさんに戻っている2人。

    「それじゃあ最後にラーメンだけ食べに行きましょう」

    なんて言いながら結局深夜までMさんを付き合わせてしまった・・アハハ

    終電もなくなった明治通りで今夜の事を詫びタクシーをつかまえた。

    連絡をくれ再会できた事、酔っ払い達に付き合ってくれた事、そしてH美の話をしてくれた事。

    せめてもの気持ちでポケットにあった少しの金をMさんに無理やり握らせタクシーに乗せた。

     

    私は東京に来てから既に30年を過ぎている。その時間の中で私なりに色々な事を経験し多くの人間達と出会った。

    もちろん嬉しいこともあったし、血が出るほど悔しい思いもした。

    しかし、30数年前まだ少年だった私はH美を許す事も、ましてや自分を許す事も出来なかった。

    私はH美の事を考えない場所に東京を選んだ。

     

     

    「良ちゃんから頂いたタクシー代、良ちゃんが握ったお札はH美に渡しました」

    数日前Mさんからメールが届いた。H美は優しい人達に囲まれている。

     

     

     

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